闘牛大会は年間5場所行われており、出場の決まった牛は大会の約1ヶ月前から調教師によって体調管理が行われていく。
▲取材時は大会1ヶ月前だったので調整が始まったばかり
闘牛では試合内容によって、牛が手ひどい敗け方をしてしまうこともある。
状況によっては廃牛になってしまう可能性もあるので、どの牛も調教師たちが万全の体調に整えて試合に臨ませているのだ。
試合当日、最高の状態で戦いに挑めるように、まずは牛の様子を見ながら餌の量を減らしていくそうだ。飢餓感を与えることで、闘争心をあおっているのだろう。戦いに備えて食事制限をする話を聞き、闘牛はボクサーに似ている部分があると感じた。
また食事量を減らすだけでなく、内容にも変化を与える。企業秘密だという栄養豊富な食事も配合が変わっていくそうだ。牛舎や調教師によっては、ビールを飲ませたり、生卵や緑茶を与えることもあるらしい。
「牛は人間の言葉を言わんけん、何が正しいかはわからんのよ」と調教師の大山さんは話す。
愛情を注いだ牛が最高の闘いができるように、調教師たちは日々試行錯誤を重ねているのだ。
▲調教に関する話を聞かせてくれた大山さん
▲牛の角で傷だらけのタイヤ
試合が近づくとトレーニングの時間や内容も変化する。
足腰や首を鍛えることがメインになり、左写真のようなタイヤを突き上げたり、土を掘るトレーニングをするのだ。
ちなみにこの積みあがったタイヤの高さは160cmほどあり、人間ひとりの力ではひとつも持ち上げることができなかった・・・!
トレーニング内容がより実戦的になっていくと、闘牛たちは本能で闘いの日が近いことを感じ、モチベーションを上げているのかもしれない。
今回取材させていただいた愛媛隆羽ファームでの様子は、闘牛が「自然体」でいることに重点をおき、牛に負荷をかけることなく、持っている力を最大限に引き出せるように工夫されているのが印象的だった。
闘牛たちの素顔の裏には調教師や牛主たちの愛情が満ち溢れているのだ。