闘牛大会で牛たちが見せる激しいぶつかり合い。
闘うことを本能とする牛たちは、スポーツマンと同様に日ごろから厳しいトレーニングを積み重ねているのだろうか?
さっそく闘牛の一日を調教師の大山さんに尋ねたところ、下図のように過ごしていると教えてくれた。
日中、トレーニングはするものの、基本的には食べる・寝る・牛舎で立ったり座ったりして過ごしている、とのこと。
これにはビックリ!!
しかも食事は随時与えられ、寝床は清潔さを保つため、きれいに掃除してもらうのだ。
闘牛はなんとも優雅な一日を過ごしているではないか!
大山さんも笑いながら「贅沢なもんよ」と話していた。
▲座り込んで昼寝中?
優雅な生活の中、闘牛はどのようなものを食べているのだろうか。
大山さんに尋ねたところ、試合の一ヶ月前だった取材時には「配合は企業秘密」という栄養豊富な食事が一日1回と、あとは草を食べるだけ与えると教えてくれた。
▲大山さんの経験に基づく配合で、闘牛の体調に合わせた食事を用意する
餌の配合が企業秘密なのは、強い牛を育てるために各牛舎が試行錯誤しながらベストな状態を見つけているからだと言う。
また、“草は食べるだけ与える”というが一回で4頭の牛が食べる量は右の写真の通り。
体が大きいだけあって、食欲もハンパじゃない!
しかも草の鮮度を大事にするために毎日刈りに行くというのだから大変である。
▲大量の草を機械で食べやすい大きさに切断する
実際に餌やりを体験させてもらう。
大山さんが餌の準備をし、台車にのせて闘牛たちに近づくと、4頭は一斉に落ち着きがなくなる。
どの牛も熱いまなざしで大山さんを「早くちょうだい!」の目で見つめているのだ。
そのキラキラした目に圧倒されつつも、餌を餌場に放り込むと、もう人間には見向きもせず、無心でモグモグモグモグ・・・!!
一回の量を完食するのに約10分!あまりにも勢いよく食べるのでついついその姿に見とれてしまった。
▲餌を与えたら人間には目もくれない
▲勢いよく草をほおばる
「あんなに激しい闘いをするのだから、きっと厳しいトレーニングを積み重ねているのだろう」と思い込んでいた。しかし、実際には栄養管理された食事と適度な運動をし、あとは一日をゆったりと過ごす。闘うことを本能としている闘牛たちにとって必要なのは、過酷なトレーニングではなく、自然に近い状態で生活をすることなのかもしれない。
次回は3月下旬更新予定。お楽しみに!!